Q.2-8 古い検体・画像情報や既存試料・情報を用いた研究を実施する場合、倫理審査委員会による審査は必要ですか?

A.2-8 
人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針では、「個人に関する情報の有無」により、審査の要否が異なります。
※個人に関する情報とは
氏名、住所、性別、生年月日、顔画像等個人を識別する情報に限られず、ある個人の身体、財産、職種、肩書等の属性に関して、事実、判断、評価を表す全ての情報であり、評価情報、公刊物等によって公にされている情報や、映像、音声による情報も含まれ、暗号化等によって秘匿化されているかどうかは問いません。

参考:人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス
P23  第2 用語の定義 1
https://www.mhlw.go.jp/content/001087864.pdf#page=26

  • 【個人に関する情報が含まれていない場合】
    指針上は、倫理審査委員会の審査は必須ではありませんが、投稿予定雑誌・学会によっては、審査が必要となる場合がありますので、投稿予定雑誌・学会の規定も合わせて確認ください。

  • 【個人に関する情報が含まれている場合】
    倫理審査が必須です。その際に同意取得の代替案としてオプトアウトの採用を希望する場合は、「本人の同意を得ることが困難である」理由を研究計画書(プロトコル)に明記した上で申請し、倫理審査委員会が妥当と判断した場合は、オプトアウトでの実施が可能です。
    ※本人の同意を得ることが困難な場合とは
    本人の転居等により有効な連絡先を保有していない場合や、同意を取得するための時間的余裕や費用等に照らし、本人の同意を得ることにより当該研究の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合等には、「本人の同意を得ることが困難であるとき」に該当すると考えられます。

参考:人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス
P41~42  第3 適用範囲 適用される研究 8及び9
https://www.mhlw.go.jp/content/001087864.pdf#page=44

なお、自らの機関において保有している既存試料・情報を用いる研究を実施する場合で、以下に該当する場合はオプトアウトを含めインフォームド・コンセント(IC)等の手続きを行うことなく利用できます。
・ 既に特定の個人を識別できない状態に管理されている試料(当該試料から個人情報が取得されない場合)
・ 研究計画立案時点で既に存在する仮名加工情報を用いる場合
・ 匿名加工情報(試料を用いる研究については、IC取得が困難な場合に限る。)
・ 個人関連情報

詳細は、
令和2年・3年個人情報保護法の改正に伴う生命・医学系指針の改正について
 Ⅱ.生命・医学系指針の主な改正内容
 P6 2)自機関で保有する既存試料・情報を用いて研究を実施する場合 【指針第8の1(2)】
 https://www.mhlw.go.jp/content/000921727.pdf#page=7
及び上記指針ガイダンスP81〜P87をご参照ください。