Q.2-14 同意を受ける時点で利用目的が特定されなかった研究で、既存試料・情報を用いる場合、再同意の取得は必要ですか?

A.2-14
人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針で、「同意を受ける時点で特定されなかった研究への試料・情報の利用の手続き」として、「利用目的等が新たに追加されたときは、研究対象者等に対し、研究実施について同意撤回できる機会を保証する」ことが求められています。
従って、倫理的観点から、研究対象者が同意を撤回できる機会を提供することが原則ですので、まず研究者側で同意撤回の機会の提供の可否をご判断いただき、「可」とのご判断であれば説明同意文書や掲示文書等を改訂することを倫理審査委員会へ申請し、承認を得てください。その後、改訂した文書の使用について実施医療機関の長の許可後に研究対象者等の意思を再度確認してください。
ただし、例えば本人の転居等により有効な連絡先を保有していないことや、同意を取得するための時間的余裕や費用等に照らし、本人の同意を得ることにより当該研究の遂行に支障を及ぼすおそれがあること等、「本人の同意を得ることが困難である」理由を研究計画書(プロトコル)に明記した上で申請し、倫理審査委員会が妥当と判断した場合は、オプトアウトでの実施が可能です。

参考:人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス
P84 第8 インフォームド・コンセントを受ける手続等 (2) 自らの研究機関において保有している既存試料・情報を研究に用いる場合 11
https://www.mhlw.go.jp/content/001087864.pdf#page=87

なお、自らの機関において保有している既存試料・情報を用いる研究を実施する場合で、以下に該当する場合はオプトアウトを含めインフォームド・コンセント(IC)等の手続きを行うことなく利用できます。
・ 既に特定の個人を識別できない状態に管理されている試料(当該試料から個人情報が取得されない場合)
・ 研究計画立案時点で既に存在する仮名加工情報を用いる場合
・ 匿名加工情報(試料を用いる研究については、IC取得が困難な場合に限る。)
・ 個人関連情報

詳細は、
令和2年・3年個人情報保護法の改正に伴う 生命・医学系指針の改正について
 Ⅱ.生命・医学系指針の主な改正内容
 P6 2)自機関で保有する既存試料・情報を用いて研究を実施する場合 【指針第8の1(2)】 
 https://www.mhlw.go.jp/content/000921727.pdf#page=7
及び上記指針ガイダンスP81〜87をご参照ください。