A.1-8
仮名加工情報とは「他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報」と定義されています。
データ内の特定の個人を識別できる情報(氏名等)を仮名加工情報作成の意図を持って、個人情報保護法第41条第1項に規定する法律の施行規則で定める基準に従って削除または他の記述に置き換えることで、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように加工した情報が該当します。
なお、仮名加工情報を作成する際は、以下の基準に従い、個人情報を加工するよう定められております。
(1)個人情報に含まれる特定の個人を識別することができる記述等の全部又は一部を削除すること
(当該全部又は一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
(2)個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること
(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
(3)個人情報に含まれる不正に利用されることにより財産的被害が生じるおそれがある記述等を削除すること
(当該記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
参考:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(仮名加工情報・匿名加工情報編)
P8 2-2-2-1 仮名加工情報の適正な加工(法第 41 条第 1 項関係)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/220908_guidelines04.pdf#page=12
<個人情報・仮名加工情報・匿名加工情報の対比(イメージ)>※指針ガイダンスより
個人情報 | 仮名加工情報(個人情報であるもの) | 匿名加工情報 | |
---|---|---|---|
適正な加工 (必要な加工のレベル) | ― | ・他の情報と照合しない限 り特定の個人を識別することができない ・対照表と照合すれば本人が分かる程度まで加工 | ・特定の個人を識別することができず、復元することができない ・本人か一切分からない程度まで加工 |
加工の方法 | ― | ・特定の個人を識別することができる記述等の削除(又は置き換え) ・個人識別符号の全部の削除(又は置き換え) ・不正に利用されることにより財産的被害が生じるおそれのある記述等の削除(又は置き換え) | ・特定の個人を識別することができる記述等の削除(又は置き換え) ・個人識別符号の全部の削除(又は置き換え) ・情報を相互に連結する符号の削除(又は置き換え) ・特異な記述の削除(又は置き換え) ・個人情報データベース等の性質を踏まえたその他の措置 |
利用目的の制限等 (利用目的の特定、変更の制限) | ・利用目的の特定が必要 ・原則あらかじめ同意を取得しなければ利用目的の変更は不可 | ・利用目的の特定が必要 ・利用目的の変更は可能 ・本人を識別しない、本人に連絡しないこと等が条件 | ×(規制なし) |
通知・公表 | ・ 利用目的の通知・公表など | ・仮名加工情報を取得した場合又は利用目的を変更した場合は、原則利用目的の公表が必要 | ・匿名加工情報の作成時に匿名加工情報に含まれる個人に関する情報の項目を公表 ・第三者提供をするときは、あらかじめ第三者提供される匿名加工情報に含まれる個人に関する情報の項目、提供の方法を公表 |
第三者提供に係る規律 | 原則あらかじめ同意を取得しなければ第三者提供できない | 原則として第三者提供は禁止であるが例外(法令に基づく場合、委託、事業の承継、共同利用)あり | 第三者提供は可ただし公表義務有 |
識別行為の禁止 | ×(識別行為について規制なし) | ○(識別行為を禁止する規制あり) | ○(識別行為を禁止する規制あり) |
参考:人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス
P31 第2 用語の定義 <個人情報・仮名加工情報・匿名加工情報の対比(イメージ)>https://www.mhlw.go.jp/content/001087864.pdf#page=34
また、旧指針(2022年4月1日以前)における「匿名化された情報」との比較は、以下の一覧表をご参照ください。
出典:令和2・3年個人情報保護法の改正を受けた生命・医学系指針※の見直しについて 令和4年2月研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室 P28(一部変更)https://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/n2265_05.pdf#page=29
※注意
・既存の仮名加工情報と共に保管されている既存のサンプルは仮名加工情報に該当しません。
また、サンプルから新たに情報(測定結果等)を得る場合、当該情報は、既存の仮名加工情報には該当しません。
・本人への連絡等(面談、連絡、電子メールの送付、住居訪問等)は禁止されています。
・識別行為は禁止されていますので、患者さんを特定することや、カルテ情報に遡ることはできません。
【識別行為に当たらない取扱いの事例】
事例 1)仮名加工情報を個人と関係のない情報(例:気象情報、交通情報、金融商品等の 取引高)とともに傾向を統計的に分析すること。
【識別行為に当たる取扱いの事例】
事例 1)保有する個人情報と仮名加工情報について、共通する記述等を選別してこれらを 照合すること。
事例 2)仮名加工情報を、当該仮名加工情報の作成の元となった個人情報(カルテ等)と照合すること。
参考:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(仮名加工情報・匿名加工情報編)
P21 2-2-3-4 識別行為の禁止(法第 41 条第 7 項関係)、2-2-3-5 本人への連絡等の禁止(法第 41 条第 8 項関係)https://www.ppc.go.jp/files/pdf/220908_guidelines04.pdf#page=25